苗をそだてた

小さな小さな苗だ


白い花が付くらしい




毎日眺めては


水をやり


毎日眺めては


待った




ある日目が覚めて


覗いてみると


小さな花が咲いていた


ぼくのはな



ある朝目が覚めて



細く長く伸びたそれを切り落とした




微かな金属音と乾いた音




ある朝目覚めて覗いてみると


小さなそれは確かにあった


あったはず


ある日の自分はそれを摘み取って


大事にしまった


そして今


そんなものはどこのもなかったのだと


失ったものの大きさに気づいた








ちいさなちいさなぼくのなにか