それはまるで 嘘みたいな。





大気圏

きらきらしたものが零れ落ちてくる

四月のこと

眩暈のするようなやわらかなにおいと。

チョコレートを口に含んだ




「あのね」




ただ 甘ったるいだけの味がした







こうして小さく息をしているのです

自分にすら気づかれぬようにと

小さく ちいさく

吸い込んでとめた

もう見慣れた左手がぼんやりと映るのです。





きらきらした





あたたかいと感じた

その存在に

感じることのできた自分に 何か





もどることができたなら

くだらない希望的観測だっていい





あの日は ただその声だけでよかった







あの日

息をとめた

本当は、そんなことがいいたかったんじゃなくて

そうじゃなくって







気づいてしまった私はどうすればいい







ただ、その声だけでよかった










いつか  言えたら